富士山の登山でもっとも気を付けるべきは、高山病です。
高山病はだれでもなる可能性があり、なってしまうと登頂は困難になります。一説には、富士山の登山者の50%は高山病になっているというデータもあり、私も毎年やんわりとなります。
しかし、高山病はしっかりと対策することで事前に防ぐことが可能です。この記事では、私が何度も富士山にのぼった経験から、実際に高山病予防に効果がある方法などを解説します。
- 高山病になる理由
- 高山病対策
- 高山病になってしまったら

高山病にならなくなるかもしれませんよ!
なぜ高山病になるのか?


なぜ高山病になるのでしょうか?
これには、体調や体質などさまざまな要因があります。
酸素が薄いから
高山病は、酸素が薄い場所でなります。
「高山」という名前がついていますが、実際には酸素が薄ければどこでもなりえる症状です。富士山は、日本でもっとも標高が高く、山頂の酸素量は平地の3分の2程度といわれています。
数字だけでみると、それなりにありそうに見えますが、私が初めて富士山の頂上に行ったときは、「3歩歩いたら呼吸が乱れる」ようなレベルでした。
あまり運動していないひとが行くと、まともには歩けないレベルだとおもいます。
反面、普段運動するようなひとは、あまり酸素の薄さは感じないかもしれません。私はその後、強くなって富士山に何度ものぼっていますが、今では酸素の薄さはほとんど気にならなくなりました。
体調不良でなりやすい
体調によっても大きく変わります。
たとえば、睡眠不足だったり疲労だったり、お酒を飲みすぎたりしていると高山病になりやすいです。これは普通の運動でも同じで、たとえば二日酔いの状態でランニングしたらきついですよね?
どの運動でも、体調の影響はダイレクトにでます。
富士山だと、それが高山病のなりやすさに直結してしまうということですね。
体質でなりやすい
体質の問題も無視できません。
根本的に高山病になりやすいひとというのが存在します。私の知り合いで、標高1300mくらいで典型的な高山病になるひとがいます。これは珍しいタイプですが。
普通は、だいたい2000m以上くらいから高山病の症状がでるひとが多いです。
高山病にならないための5つの方法


高山病は、予防することが可能です。
ここでは、高山病対策に有効な方法を解説していきます。
体を順応させる
高山病は、5合目が一番の鬼門です。
なぜなら、酸素量の多いバスからいきなり酸素の薄い空間に放り出されるので、体がまったく順応していないからです。
5合目での高度順応をおろそかにすると、高山病になる確率はかなり高くなります。


こちらは富士宮5合目のバスの場所です。
私はバスから降りて5分で高山病になったことがあります。
体が慣れているから高山病にはならないだろうと、何回も登ったことのある私は完全に油断していました。



高度順応など不要!
と、勢いよく階段をのぼった瞬間に頭痛になりました。びっくりしました。



めっちゃ序盤やん・・・
序盤どころか何ならスタートする手前くらいのところで、まさかいきなり高山病の症状が出てくるとはおもいませんでした。高度順応の大事さを思い知る結果に。
よくネットの情報では「5合目で30分~1時間程度休みましょう」と書かれていますが、ただ休んでいるだけでは、ほとんど意味はありません。
5合目でボーッとするのではなく、ひたすら深呼吸に努めましょう。
しっかりとした深呼吸で体を慣らすことができれば、5合目の高度順応は個人的には10分もやれば十分だとおもっています。
あとは道中、歩きながら深呼吸を忘れずにしていけば問題ありません。というか、むしろこっちの方が重要です。心配ならば1時間やれば良いですが、必要以上にやっても意味はないでしょう。
高度に順応できると体が少し楽になって、重さを感じなくなるので、それを目安にしてみてください。
呼吸を大切にする
富士山では深呼吸が一番大事です。
富士山は深呼吸に始まり、深呼吸に終わります。
呼吸の気を緩めていいのは、唯一下山時のみです。下山ならば高度がさがってくるので、さほど呼吸に注意する必要はありません。
さきほど、「5合目が一番の鬼門」と言いましたが、もうひとつの鬼門が「標高3000m付近」です。個人差があるとおもいますが、私はこのくらいの標高でまた高山病になりかけます。
ここでも重要なのは、やはり深呼吸です。これをおろそかにしてると、このあたりの標高でさらに高山病が悪化します。
富士山は、最初から最後まで深呼吸が大事です。
水分をたくさん摂る
水分をたくさん摂るのも有効です。
理由としては、水の中には酸素が含まれているからです。つまり、酸素の供給ができるということですね。トイレもたくさんあるので、意識的に多く水分補給しましょう。
ペットボトルでもよいですが、こまめに水分補給するにはハイドレーションがおすすめです。手元のホースから手軽に水分補給ができるので、


また、富士山は森林限界で木々がほとんどないため、こまめな水分補給は熱中症対策にもなります。
飲む酸素
酸素を効率化する方法もおすすめです。
富士山では、よく酸素缶がおすすめされますが、私はこっちの錠剤タイプの方が効果があるとおもっています。これは酸素の働きをサポートするもので、呼吸を楽にしてくれる可能性があります。
amazonでの評判もかなり良いです。
富士山に行く前に飲んで行きました
疲れが少し緩和されるような気がします
あと、頂上までこれのおかげかな?高山病になりませんでした
一か月飲んで見ましたが、だるさが少なくなるイメージです
引用元 : アマゾン


ペース管理が大事
ペースが速いと、呼吸がおろそかになりがちです。
特に早いペースでのぼると呼吸が荒くなってしまい、高山病になりやすくなります。呼吸が荒いということは、酸素をいっぱい取り込んでいるということですが、これは実は浅い呼吸です。
浅い呼吸なので、高山病予防の効果はありません。
登山はゆっくりとしたペースが基本ですし、富士山ではさらにゆっくりでも大丈夫です。
ただざっくりと「ゆっくりのペース」といっても、わかりづらいですよね。
私は、ペース管理は歩幅で行います。
歩幅をしっかりと管理していると、視覚的にわかるので管理がしやすいです。大股にならないようにして、小幅を意識して歩きます。
また、小幅だと早くのぼろうとしてもなかなか進みません。歩幅さえ管理できていれば、ペースが大きく狂うことはないので、かなり効果的です。
心肺機能の強化について



心肺機能を強化すると高山病になりにくくなるの?
高山病対策という意味では、これはすごく微妙だとおもっています。
確かに、心肺機能があがれば、呼吸に余裕ができて楽に動けるようになりますが、自然な状態での酸素の摂取量は微々たるものです。
つまり、結局は意識的に深呼吸をしなければ、そこまで大きな差にはなりえないのではないかと。
私はゆっくりのぼれば、富士山頂上直下でも鼻呼吸できる程度の心肺機能はありますが、だからといって高山病になりにくくなったとは感じません。
やはり、意識的な深呼吸以上の対策はないとおもいます。
もしなってしまったら


高山病になってしまっても、慌てる必要はありません。
初期症状ならば抑えることが可能ですし、焦らずじっくり対処することが重要です。
止めることができる
高山病の症状は、止めることができます。
上述しましたが、私は富士宮5合目の階段でいきなり高山病(軽い頭痛)になりましたが、その後コントロールして、それ以上悪化させないことに成功しています。
軽い頭痛などの初期症状が出てきたら、早い段階で予防に努めることが大事です。なってしまってもあきらめる必要はありません。
何度も言いますが、深呼吸は常に意識しましょう。
薬を飲む
高山病には、頭痛薬が効きます。
高山病の初期症状は頭痛だからです。実際に私も飲んでいますが、効果があります。ただし、あくまで頭痛に対してなので、重い症状には効果がありません。やはり、予防することが一番大事です。
私は極力薬には頼らないようにしていて、飲むときは必ず下山してからにしています。


特にロキソニンは頭痛以外にも、炎症全般にも効果があるので、私はヒザやかかとが痛いときは、必ず登山前に飲んでいます。個人的にロキソニンは、登山をするならば常備しておくのをおすすめします。
下山する
症状が重い場合、下山しかありません。
高山病の一番の対策は、下山することです。高山病は最悪の場合、死に至る可能性もありますので、ひどくなってしまったら、無理をせず下山しましょう。
またチャレンジすれば良いです。



富士山はいつでも待ってくれていますよ!
富士山は呼吸が大事
高山病対策には、呼吸が大事です。
富士山は呼吸に始まり、呼吸に終わるといっても過言ではありません。常に呼吸に気を配りながら、頂上を目指しましょう。