はっきりと言います。登山に傘は必要ありません。
登山中に傘をさすという行為は、自分の身を危険にさらす行為です。それどころか、他人をも危険な状況に陥れる可能性があります。
しかし、一方では登山用の傘をメーカーが販売しているのも事実です。ということは、果たしてメーカーは推奨しているのでしょうか?
この記事では、登山で傘を使ってはいけない理由について、以下の2つのポイントをお伝えします。
- 登山に傘を使ってはいけない理由
- 登山用の傘が売られている本当の意味

この記事をすべて読み終えた頃には、あなたの考えは変わっているかもしれませんよ
登山に傘を使ってはいけない5つの理由


登山に傘を使うのか使わないのかは、人それぞれ意見があると思いますが、ここでは私の見解を述べていきます。
危ないから


登山に傘がいらない理由のひとつは、シンプルに危ないからです。
雨の日は晴れている日の登山道とは違い、土、岩、木の根、すべてが滑る原因になり得ます。置き換えれば、とっさに手を使わなければならない状況が常にあるということです。
片手がふさがれた状態では、瞬時に体を支えることは困難です。傘を持って登るということは、ポケットに手を突っ込んで登山をするようなものです。
すぐに壊れるから


登山用として販売されている傘は、軽量で丈夫だと謳われています。
しかし、軽さと丈夫さは反比例します。
軽量化するために骨組みがカーボンだったりしますが、山で求められるのって軽さだけじゃないですよね?仮に、雨の日に傘だけしか持っていかないのであれば、丈夫さはとても重要じゃないですか?
もちろん、軽いなりに丈夫に作っているのは間違いないですが、登山で求められる丈夫さの基準って厳しいですよ。だって、命に関わるかもしれない物なんですから。



街中で傘が壊れた経験はありませんか?
多くの人が経験として知っているはずです。傘は壊れやすいものだと。
とはいえ、剛性がないのは安いレインウェアでも同じですけどね。ゴアテックスなら滅多なことじゃ破けないですが。
使ってる人いないから


実際、登山で傘を使っている人なんて滅多にいません。
「多くの人がレインウェアを着ているか、そのまま濡れています」
この事実だけみても、傘を使う必要性があるのかどうかは、あきらかではないでしょうか?
他人の迷惑になるから


登山道は、基本的に広くありません。
むしろ狭いところがほとんどです。そんな中、前方から巨大なパーソナルスペースを維持している人がきたらどうでしょうか?



うわ、邪魔くさい・・・
多くの人がそう考えると思います。実際にすれ違うとなれば、傘が当たらないようにお互いに気をつける必要が出てきます。
ただでさえ狭い登山道で道を譲りあおうというのですから、崖から転落しないよう普段以上に注意しなければなりません。
以前、雨の日に前方にいたカップルを追い抜くとき、登山道から少しそれていきましたが、転んで少し手を擦りむいてしまったことがあります。
登山道では必ず相手が譲ってくれるとは限りません。音などに気づかない人もたくさんいます。(雨の日は特に)
その時、前方にいたのが傘を持っている人だったら、やはり同じ行動をしてケガをしていたと思います。もし、私が手に傘を持っていたとしたら、そのケガは更にひどくなっていたかもしれません。
使えるシチュエーションが限定的すぎるから


メーカーは、強風時や滑る危険性がある場所などでは、傘の使用を推奨していません。
使い分けだと主張しています。
でも、登山で危険じゃない場所ってありますか?あるとするなら、それはきっと登山とは言い難い場所だと思います。
1メートルは一命取る(いちめいとる)、といわれています。
人間はたった1メートルの高さでも、運が悪ければ死んでしまうという格言です。
メーカー推奨の範囲で使うにしろ、格言に従うにしろ、行動中は滅多に使う機会はないはずです。休憩時に使ったりなんかは出来るでしょうが。
傘が必要ないという本当の意味


なぜ登山用の傘を推奨する人や、作るメーカーがあるのでしょうか?
ここではその本質に迫りたいと思います。傘が必要ないという、私の主張の本当の意味を知ってください。
登山者のためにならない


メーカーやブロガーは、物を売りたいというのが本音です。(もちろん私もです)
良い商品を作り、良い商品をPRし、良い商品を買ってもらう、この循環は消費者にとっても素晴らしいことだと思っています。だから、提案することに悪意なんて感じませんし、人の役に立つと信じてやっているのかもしれません。
でも、そこに"善意"はありますか?
どう考えたって、傘を持って登山をするなんて危ないですよ。だから、はっきりと傘はダメだというべきです。
もちろん各々の主張があるでしょうし、好んで使っている人もいますから、そこにケチをつけるなんてことはしません。個人の自由ですし、私はその人の主張を尊重したいと思っています。
でも、「登山で傘って使えるかな?」という安易な考えを持っている人に、「こんないい傘ありますよ!」といって紹介するのは、本当に良いことなんでしょうか?
傘をおすすめした結果、大ケガして登山をやめてしまった
なんてことになれば、それは売る側にとっても当事者にとっても、大きな損失ではないですか?
だから、登山で傘はダメだと主張するべきなんです。登山者の安全を第一に考えるなら、なおさらでしょう。
傘を使うということは


過去に傘で登った経験がある方もいるでしょう。
しかし、それが安全な登山であったかどうかは、登った本人が一番よくわかっているはずです。
傘を使った登山は、他人に勧められるものでしたか?
傘を使う登山というのは、常にリスクが付きまといます。今までは大丈夫だったとしても、これからも大丈夫という保証がまるでありません。
そして、そのリスクは絶対に他人に勧められるものではないと思います。
まとめ : 登山では傘を使うべきではない


登山では傘を使うべきではありません。それはケガをするリスクが高まるからです。
絶対にケガをしないように、遭難しないように、命を落とさないようにするのが登山です。そして、それはどんなに準備しても100%防げるものではありません。
であれば、リスクを極力減らすというのが、我々登山者に出来る最低限の努力ではないでしょうか?
雨の日の登山は、私は絶対にレインウェアをお勧めします。