石鎚山の鎖場がどういうものか知りたい、というお悩みはありませんか?
石鎚山には、全部で4つの鎖場があります。それぞれ長さや難易度が異なりますが、全部挑戦する必要はなく、それぞれに迂回ルートが設置されていますので、1個だけ挑戦する等も可能です。
初心者が挑戦する場合、おすすめなのは「一の鎖」と「試しの鎖」です。
この記事では、石鎚山の鎖場について以下の3つのポイントでお伝えします。
- 鎖場ごとの難易度
- 石鎚山の鎖場の種類
- 石鎚山の鎖場の特徴

気になる鎖場だけのぼるのもオススメですよ!
石鎚山の鎖場の特徴


石鎚山には、4つの鎖場があります。
「試しの鎖」「一の鎖」「二の鎖」「三の鎖」です。このうち、成就ルートだと全部の鎖場に挑戦できますが、土小屋ルートだと二の鎖と三の鎖のみ登れます。
体力に自信のない人は、無理してのぼらないようにしましょう。逆に全部挑戦しようとすると、それなりの体力と腕力が要求されますので、ご注意ください。



初心者はひとつかふたつくらいが無難です!
太い


石鎚山の鎖は、とにかく太いのが特徴的です。
他の山で鎖場の経験があるひとは、面食らうとおもいます。この太さから、通常の山の鎖場とは違ったのぼり方になります。
普通の山の鎖はロープのような役割であるのに対し、石鎚山の鎖はハシゴ的な役割になっています。
そのため、鎖場の技術的な難易度は比較的やさしめです。とはいえ、距離が長くて体力や筋力を使うことは必至ですので、全体的にきついのは間違いないかとおもいます。
ほぼ垂直
石鎚山の鎖場の角度は、どれもほぼ垂直です。
そのため、体力や筋力を多く使います。特に三の鎖は鎖場の難易度としても高めで、ある程度鍛えているひとじゃないとキツいとおもいます。
石鎚山の鎖場は、どれも数十メートルありますから、高所恐怖症のひとは行かない方が無難です。
みんなでのぼる
鎖場は、普通は一人ずつです。
しかし、石鎚山の鎖場では、みんなが列をなしてのぼります。というのも、上述したように鎖がかなり太くて揺れないため、他のひとの影響をほとんど受けません。そのため、連なってのぼっても問題ないみたいです。
問題はないのですが、前のひとが落下すると・・・道連れになります。
実際、鎖場の滑落事故もあって、他人に迷惑をかけたくなければ握力や懸垂のトレーニングをしましょう。
個人的には、みんなガンガンのぼっていくのが結構カルチャーショックでした。遅いひとがいると、団子になってしまうため、余裕をもってのぼれると良いですね。
迂回路がある


石鎚山の鎖場には、すべて迂回路があります。
石鎚山の山頂を目指す際、鎖場は強制ではありません。
体力に不安のある方は、無理せずに迂回ルートを通りましょう。この迂回ルートは鉄階段になっており、雨の日などは滑りやすいので、気をつけてください。
鎖場ごとの解説


ここでは、全部で4つある石鎚山の鎖場をそれぞれ開設していきます。



意外なことに、試しの鎖がもっとも長いんです
試しの鎖
この鎖場の目安 |
---|
(4.0) | 体力レベル
(3.5) | 技術レベル
おすすめ度 (2.5) |
鎖場の長さ 74m |
中級レベル |
試しの鎖は、その名の通り自分の実力を試す鎖場です。
要は、「この先の鎖場は、ここをのぼれなければ話にならないよ」ということを言っているわけですね。しかし、試しの鎖といいつつも、実はここの鎖場が最長です。
全ての鎖場の中で唯一、下りが強制なので必然的に難易度があがります。鎖場はくだりの方が危ないので、自信のない方はここは避けた方が良いでしょう。
くだるときに少し横方向に巻かなければならないので、高所恐怖症の方はかなり怖いとおもいます。
反面、ここの鎖場ののぼりは技術的には簡単です。慣れているひとなら、スイスイとのぼってしまえるとおもいます。
試しの鎖は、全体的に距離も長くて高度感があるので、初心者がのぼるには敷居が少し高いかなとおもいます。
一の鎖
この鎖場の目安 |
---|
(2.0) | 体力レベル
(3) | 技術レベル
おすすめ度 (3) |
鎖場の長さ 33m |
初級レベル |
一の鎖は、もっとも短い鎖場です。
距離が短く、体力的にも優しいので、実力を試すのであればむしろこっちかなと。やはり距離が短いというのが一番で、ここの鎖場であれば心が折れる前にのぼりきってしまえるでしょう。
しかし、やはりここも垂直な鎖場なのであなどれません。高所恐怖症のひとは、一の鎖でも十分怖いとおもいます。
二の鎖
この鎖場の目安 |
---|
(4.5) | 体力レベル
(3.5) | 技術レベル
おすすめ度 (4.0) |
鎖場の長さ 65m |
中級レベル |
二の鎖は、体力勝負な鎖場です。
ゴツゴツした岩が多くて足上げがきついため、体力的な難易度が高いですね。息があがりやすいとおもいます。
ここは、運動不足の方が来るとまず間違いなく足が止まります。
体力、筋力、度胸のないひとは、二の鎖を行くのはおすすめできません。距離が長く、上にいくと足場も少なくなってくるので、技術も必要です。
二の鎖では、実際に滑落事故も起きているので、しっかりと準備をしてからいきましょう。
三の鎖
この鎖場の目安 |
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(5.0) | 体力レベル
(4.5) | 技術レベル
おすすめ度 (4.5) |
鎖場の長さ 68m |
上級レベル |
三の鎖は、もっとも難易度が高い鎖場です。
角度的にかなり垂直で高度感もあるため、ずっと緊張感が続く場所です。
しっかりとした足場が少ないので、鎖についているトライアングルに足をかけてのぼりますが、これが結構揺れるので私はかなり嫌でした。
私が行った時期は、厳冬期ちょっと前だったんですが、足場が凍ってしまっていくつか使えない足場があり、なかなか苦戦した覚えがあります。特に冬はヤメた方がいいですね。
ここは本当に「鎖に頼ってのぼる」場所で、体力や筋力に自信がないひとはまず行かない方が良いです。しかし、三の鎖をのぼるとまるでゴールかのように頂上が迎えてくれるので、試練に打ち勝った感があります。
ただし、石鎚山の鎖場は「太い」「足場が多い」というその性質から、「技術的な」難易度だけはあまり培われません。
あくまで、鎖場をのぼる「体力」と「筋力」や「高所に対する耐性」があるといった評価です。技術面の評価としては、少し低めになります。
冒頭にも書きましたが、山の鎖場というのは「壁にぶらさがっているロープのような役割」なものが一般的であり、ハシゴのようにのぼる石鎚山の鎖場は異質です。
たとえば、全国でも屈指の難易度といわれる妙義山では、また違った技術が必要です。たとえ、石鎚山の鎖場を全部のぼれたとしても、妙義山の鎖場を全部のぼれるかといわれれば、正直微妙なところだとおもいます。



妙義山の鎖場については後々解説していきますね
鎖場を攻略するアイテム


鎖場を攻略するためのアイテムをご紹介します。
個人的に鎖場いろいろなところをのぼっていて、その経験から「グローブ(手袋)」と「こむらがえり対策の薬」はおすすめです。
グローブ
私は、鎖場ではいつもグローブを使います。
単純に手が冷たくならないように、というのが理由のひとつです。
私が石鎚山に行った頃は、厳冬期手前くらいでしたが、道中の足場はところどころ凍っており、鎖もめちゃくちゃ冷たかったです。
鎖は、気温が少しでもさがると、容赦なく冷たくなります。
短い鎖場であれば、手が冷え切る前に行けるんですが、石鎚山のように長い鎖場では、途中で手が冷えてしまいがちです。
そして、もうひとつ個人的に重要視しているのは、指先の感覚です。場所によっては、鎖以外にも岩をつかむ必要があり、その感触(もろさや掴みやすさ)を見極めるには、何もない状態が一番わかりやすいです。


このタイプは、指先の感覚を確保しつつ、グリップ力をアップさせることができるので、安定してのぼることが可能です。
個人的な考えでは、鎖場ではグローブは必須だとおもっています。
私は、雪山以外では真冬でもハーフフィンガーですが、寒さに弱い人は、指先にあるタイプでももちろん大丈夫です。私が暑がりなだけなので。


ブラックダイアモンドのこのタイプの手袋がおすすめな理由は、マジックテープでしっかりと手首にフィットさせることができるという点です。
のぼってる最中でも脱げる心配がないという点から、もっとも鎖場に適しているタイプのグローブだとおもっています。さすがクライミングのメーカー。
手首にフィットさせられないタイプのグローブは、脱げる心配があるため私はおすすめしません。特に、軍手は絶対に使わないようにしましょう。滑るし、濡れるし、脱げます。
また、鎖場は濡れていることもしょっちゅうあるので、グローブに関しては常にザックに入れておくのをおすすめします。濡れている鎖場を素手でのぼるのは、本当に危険なので。
足がつりやすい
大きな足上げをすると、足がつりやすいです。
あまり褒められたことじゃないんですが、私はいつも鎖場で足がつってしまいそうになります。実際に完全につってしまうとかなり大変な状況になりますが、これには一応対策があります。
あまり知っているひとは少ないとおもいますが、こむらがえりに効く漢方薬というものが存在していて、私はコムレケアを常に常備しています。


ただ、事前のストレッチも大事なので、鎖場では特に入念にチェックしていおきましょう。
基本が詰まっている
石鎚山は、鎖場の基本が学べる良い場所だとおもいます。
「鎖はのぼるための補助であり、足を使ってのぼる」といった基本的なことが身に付きやすいです。
中でも初心者が挑戦するなら、一の鎖が一番おすすめです。距離が短いので、なんとかのぼりきることが可能でしょう。
全部のぼることができれば、心身ともに強くなれるのは間違いないので、自分の実力と相談しつつ、無理をしない範囲で挑戦してみるのもオススメです。ただし、上半身もしっかりと鍛えてからいきましょうね。

