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猟師歴54年の人に聞いた熊事情と対策。クマを避けるとっておきの方法も伝授!

猟師歴54年の大ベテランの人と偶然出会ったので、クマのことを色々と聞いてきました。
クマの生態やどうすれば避けられるかなど、登山者必読の内容となっているので、命を守るためにもぜひ一読ください。
※以下、クマ=ツキノワグマ。
ベテラン猟師から聞いたクマな話
やますぐどのくらい猟師やってるんですか?
54年目だよ。銃は去年返納した
なんと、でぇベテランに遭遇。この機会に色々と聞いてみた。



どのくらい猟師やってるんですか?
54年目だよ。銃は去年返納した
このへん毎日出てるんだよ。もう3日連続



へぇ~そうなんですね
私はもう山に行き過ぎてクマへの恐怖は忘れてしまっている。なので、ココ数日この近辺にいると言われても、「そりゃ山なんてどこにでもいるしな」みたいな感覚。
とはいえ、色々と話を聞いてると、ちょっと毛色が違うよう。
先月も林業の人がやられてねぇ・・・



えっ?襲われたんですか?
うん、実は亡くなってるんだよ
詳しく話を聞いてみると、付近で人的食害があったとのこと。林業の人が襲われ、3日後には原型をとどめていない状態で発見されている。猟師曰く、クマは人間の内臓が好きらしい。
昔の文献でそういう話を見聞きしたことはあったものの、「地元で」「しかも先月の話」となるとわりと衝撃的な話ではある。しかも、そのクマは駆除されていない。
そして、もっと重要なのが、この事件は公表されていないということだ。
クマの多い自治体では、事故が起きれば大抵は記録として残る。たとえば、群馬県では以下のようなページがある。
私は普段からこういう情報を見て、クマ被害がないかを確認していた。が、これはあくまで表の情報であり、実際には公表されてない事故もあるということだ。
色んなニュースを見てみたが、この情報はやはりどこにも載っていなかった。私は人喰いクマの近くで呑気にトレランしていたのである。いやほんと、ほのぼの登ってたんだけど。
どこの山域か



どこの山域で起こったの?
そんな声が聞こえてきそうだが、私はこう答える。



あなたのよく登る山だよ
「どこで起きたか」は、まったく重要ではない。公表されていない食害事件があるのだとしたら、クマのいる全ての山域で日常的に起こっている可能性がある。
あなたのよくのぼる山で、日常的に起こっていると考えたほうが良い。
そういえば昔、ツーリングで毎年北海道に行くという人から聞いたんだけど、現地では「ヒグマに襲われて死ぬ系」の話はゴロゴロしてるらしい。
この人から色々聞いて「北海道やべぇ」という認識になった。だって、ここで聞いた話だけでも1個や2個じゃなかったからね。
獣害事件だと三毛別とかワンゲル部のやつとかあるけど、そういう有名なものは一部文献として残っているだけで、実際にはもっと数多くの"世間には知られていない獣害事件"がたくさんあるということ。
世間に出るニュースが全てではないのである。いちいちマスコミに話さなきゃいけないっていう義務もないだろうし。
私もそうだが、ネットで調べたからと言って全ての情報を把握しているとは思わないほうがいい。あなたが知っているのは、ほんの一部だけだ。その認識を持とう。
あなたのよく登る山で、あなたの近所で、食害事件は常に起きている。ヒグマもツキノワグマもね。
山へ行くなら「人喰いクマが常にいる」という認識を必ず持つべき。だからこそ、我々登山者はしっかりとした対策が必要だ。ほんとみんな気をつけようね。
クマの生態



クマって積極的には襲ってこないですよね?
襲ってくるよ!(食い気味)
猟師いわく、クマは普通に襲ってくるらしい。
やっぱり近いと襲ってくるね。距離取ってれば大丈夫だけど
まぁこの辺は文献通りだろうか。要は、びっくりした拍子に人間を襲うことが多いということ。でも、距離が離れていればお互い冷静だから襲われないかもという話。



クマって、雑食とはいえ基本植物食ですよね?
自ら狩りとかしないんじゃないですか?
普通にシカ襲って喰うよ!
普通にシカ襲うんだって。特に、水源は狩場にもなってるらしい。水を飲みに来る動物(シカなど)を、自ら襲うことがあるのだそう。
私の事前の知識だと、「クマは植物食にかなり偏っていて、肉を食べる場合はシカなどの死骸に限る」ときいていたので結構衝撃的。
家に帰ってから調べてみると、最近の情報では「ツキノワグマも普通に肉食」なのだそう。
以前はヒグマと違い、大型動物を捕食することはほとんどないと考えられていたが、近年では猛禽類(イヌワシ)の雛や大型草食獣(ニホンカモシカやニホンジカ)などを捕獲して食べたりする映像が研究者や観光客により撮影されることから、環境により動物を捕獲して食料とする肉食の傾向も存在すると考えられる。 Wikipediaより
ちなみに、沢や池などの「水場は危険」といっていた。クマが水を飲みに来たり、イノシシのヌタ場になったりと。
登山者的な話を言うと、沢は熊鈴などの音がかき消されやすい場所でもあるので、普段にもまして音をたてておこう!
ちなみにイノシシも危ないからね。
去年自衛隊のひとが訓練中に襲われて重症になってる。
これもニュースにはなっていなかった。
クマの情報は自治体でよくまとめられてるけど、イノシシとなると見たことないなぁそういえば。イノシシにやられる話は定期的に聞くんだけど。
ちなみに、イノシシも大きい個体は普通に100kg超えるので、油断したらダメ。動物でいえば、クマと同じくらい気をつけなければいけない存在だよ。
クマスプレーの話



クマに襲われたらどうしたらいいですか?
スプレーってききます?
熊スプレー支給されたことあるんだけど、安物はだめ。
風に負けて全然使い物にならん。買うなら1万円以上のやつがいいね
安物は噴射力が弱くて風に負けてしまうらしい。また、やっぱり自滅してしまう(自分が浴びる)ことが多いらしいので、扱いが難しそうだ。
熊スプレーを買うときは、噴射力が高いものを買おう。私も詳しく調べてみたが、本当に1万円以下のものは駄目そうだった。商品ページに実際に噴射しているのもあったが、水鉄砲みたい・・・。
昔持ってたやつは5000円くらいのやつだったんだけど、噴射力弱くてダメだったよう。ということで、「ベアアタック」を買いました。
「クマスプレー、ベアアタック!」って何回も言うのがツボる。専用のホルダーもついてるので、リュックの腰ベルトにかけておくと丁度良い。
高いんで迷うと思うが、クマに対する対抗手段で一番有効なのはやはりスプレーだ。命がかかってるもんに金ケチッてる場合じゃないよ。
有効年数は数年あるので、まぁ保険代と思って。喰われんの嫌でしょ。買ったらちゃんと、自分がすぐ取り出せる位置に身につけておくこと。
リュックの中に入れてたらすぐに使えないからね。まぁそれが本当に邪魔なんだけど、わかるんだけど、邪魔でも手の届く位置に常に身につけておこう。
ちなみに、つい最近クマと思われる物音(草木を踏み倒す音)がしたけど、このスプレー持ってたんで気持ちにかなり余裕があったよ。実際、熊スプレーの役割として「冷静になれること」ってのは大きいと思う。
ガスッてて姿の確認はできなかったけど、挙動も含めておそらくはクマかと。シカはあぁいう音しないので。でも、ビビる必要もないんで、音を立てて「あっち行ってね~」って感じで、登山道から離れるよう追い払いました。
ベストは当てることだけど・・・
遠距離からクマに当てることがベストだが、そうはいかない状況も多々あるだろう。
だからこそ、最悪自分にかける覚悟はしておくこと。なるべく顔にはかからんように。
熊スプレーは超強力で行動不能になってしまう(自分)が、熊に喰われるよりかはマシだろう。ただこれは本当に最終手段ね。どうしようもない状況のみ。
クマはどこにいる?



見通しの悪いヤブに潜んだりするのは知ってますが
他にクマがいるところってどこですか?
結構木の上にいることも多いよ
昼寝してたりする
樹の実を好んで食べるため、木の上には意外といることが多いらしい。「クマ棚」という言葉を知らなければぜひ調べてみて。
あいつら頭から降りてくるんだから!
この話を聞いたときはめちゃくちゃびっくりした。木の上なら距離あるし、安全だろうと思ってた。
なんかお尻からゆっくり降りるイメージがあったんだけど、なんと頭からめちゃくちゃ早く降りてくるらしい。そこからさらにダッシュしてくるので、一瞬で間合いを詰められるそう。
木の上にいるクマを見つけたら臨戦態勢に入っておくように!
フィールドサイン
クマは松などには基本登らないが、樹皮を剥がして体にこすりつけることがある。
マツヤニ(油性)が雨除けになるのだそう。
なので、松の樹皮が剥がれている=クマが周囲にいたサインになりうると。シカの場合もあるだろうけど。
喋ってる途中、猟師が遠くの木を見て「あの辺いそうだな~」なんて言っていたが、目を凝らしてみても全然何もわからなかった。一体何が見えてるんだ。
なんか、「木が真っ黒になる」と言ってたのだけれど、なんでだかはよくわからなかった。樹皮を剥がしたり、体の汚れや毛や付着するから?
まぁとにかく黒くなってる木見つけたら近づかんほうがいい。
やっぱり、本当に見ている世界が違うようで、猟師の知識や感覚がわかれば、クマとの遭遇はグッと減らせるのではないかと思った。
その他の情報
全部書くと長すぎるので、情報をまとめた。
- 法律がうるさい。とにかく許可許可許可の世界。時には県知事の許可が必要な場合も。
- 銃の管理はめちゃくちゃうるさいらしい。毎年警察官が自宅を見に来る。
- 警察はシカやイノシシだと反応が悪いが、クマだと真剣になる
- クマは増加している(シカやイノシシも)
- またぎはレベルが違う(すごい上手らしい)
- 猟師の数が減っている。とにかく行政がうるさいので嫌になってやめてしまう人が多い。
- 経費などを引くと手元に残る報酬は一日2000円くらい。だから若い人はやらない。
私は登山者として、この人は猟師として、長い間山と向き合ってきたが、山への考え方というか接し方が、こんなにも違うものなんだと感じた。まじですごい差。
「登山は遊び」という感覚が強いが、山は本当に命がけということを再認識。本当に見ている世界が違いました。恐れ入ります。
漁師直伝!とっておきのクマ対策
ここからはベテラン猟師におそわった、とっておきのクマ避け対策を教えるよ!
乾いた竹を1mくらいの長さにして、周りの木を叩く!
これがよく効くそうだ!ちなみに、そこまで思いっきり叩く必要はないとのこと。
竹だとよく音が響くし、振動でも伝えることが大事なんだそう。この方法なら、2〜300mは届くといっていた。
ちなみに、ストックをその場で叩いて「これでもいい?」と聞いたら、「ちょっと音が小さい」と言われた。
万が一近づかれそうになったときも、木の陰に隠れて木をバシバシして威嚇しろと言っていた。
確かに、バシバシ叩いた音って結構威圧感あるし、クマはビビって逃げるのかもしれない。ただ、やるにしても、スプレーを構えつつですね。
やますぐ直伝!熊と10年出会わなかった処世術
私はもう10年以上山に行っているが、一度もクマと遭遇したことがない。
今でも毎週行ってるので、のぼった山の回数でいえば1000回はゆうに超えているが、一度もあっていない。運がいいのもあるだろうが、私のクマ対策が有効であると思っている。
なので、私が持っているとっておきの情報をあなたに教えたい。
おすすめの熊鈴
いつか動画にしたいとか思っていたけど、良い機会なのでココで。
熊鈴にはいろんな種類があるが、私が行き着いたのはコレ。
森の鈴は、高音かつ遠くに響く音色。実際に山で鳴らしてみるとわかるが、かなり奥まで届いている。私が今まで一度もクマにあったことないのは、この鈴のおかげかもしれない。
遭遇率の少なさから考えて、クマが聞き取りやすい音域なのではないかと想像できる。


この鈴はカバー付きのも含めて、3~4個くらい持っている。見た目おしゃれなんで、リュックの色に合わせたり。
最近はこっちのLightを使うことが多い。
上記の森の鈴の軽量版だ。こっちは通常版より軽いのだが、音も少し小さくなる。クマ対策としては通常版のほうがおすすめで、ライトは重さが気になるひとのみ使おう。
熊鈴についての注意
熊鈴はつけるだけでOK、ではない。
リュックに付けたら、歩いてちゃんと音がなる場所を探そう。
特に、傾斜があったりすると、リュックと離れて全然ならなかったりする。のぼりやくだりなどの地形でも、音の出やすさが全然変わるのだ。
私の対策としては、そういう場所では手でぱちんと弾いて定期的に音を出している。そのため、手の届く範囲に熊鈴をつけておくのがおすすめ。
走ったりするときは、手に直接持ってベルのように鳴らしたりもする。
熊鈴はただつけるだけではなく、自分で音を出せるようにしておくことが大事。つけておけば勝手に鳴り続けるもんではないので、よく観察しよう。
鈴以外でも音を出そう
熊鈴だけで安心してはいけない。
とにかくクマに対しては「音で知らせてあげる」ことが重要だ。お互いのためにも。そのためにおすすめの方法を以下に2つ伝授する。簡単なので、ぜひ覚えて欲しい。
手を叩こう!
一番手軽で有効なのは、手を叩くこと。
パンパン!と大きな音を立ててみよう。私はこれをよくやっている。意外と響くのだ。たまにベテランの登山者がやっているのも見かける。
トレッキングポールを叩こう
トレッキングポール同士をぶつけて音をだそう。カンカンと。名付けて「ポールカンカン」だ。
私はこれも非常によくやる。いつもやっている。山でこの音がするとき、そこにはやますぐがいるかもしれない。
私はポールを持っているときは基本コレで、持ってないときは手叩き。熊鈴と併せてやると効果的。
ちなみに、クマの多い山でこれをやって実際にクマが逃げたことがある
実際には姿を見なかったのだが、めちゃくちゃ獣臭がした。直前にいたのだろう。
その後、山岳会に入っているベテラン登山者とすれ違い話をしたら、「今日はめちゃくちゃ獣臭がした。たくさんいたね」とのこと。人生ではじめて獣臭というものを嗅いだ。
このときも、熊鈴とポールカンカンはよくやっていた。というか、植生的に「かなりクマ多そうだな」と思ったのでいつもより多くやっていた。
でも、この音出しのおかげもあって、ニアミスですんでいる。効果もあったので、これは自信を持ってすすめたい。ぜひあなたもやってみて。
音を立てるべき場所
ずっと音を立てる必要はない。
手を叩くのもポールカンカンも、ずっとやらなくてOKだ。
「見通しの悪い場所」で優先してやろう。自分の目の届かない範囲が多いときにやる。森がうっそうとしていたり、ヤブが多く見通し悪い場所などは、クマとのばったり遭遇しやすい。
沢も要注意だ。沢の音でかき消されてしまうため、意識的に音を出さないとなかなか聞こえない。上記にも書いたが、水場はクマが集まりやすい場所なので、特に注意が必要。
こういう場所は、意図的に熊鈴をゆらして音を出したり、手に持ってカンカンカンと鳴らしたりするのも良い。
目視も忘れずに
目視も忘れないようにしよう。一番大事。
前後左右だけでなく、上下も見るんだ。クマは木の上にもいるという意識が大事。下はヘビ踏まないようにね。
疲れてきたり、考え事をしたりすると、視界が狭くなりがち。私も考えごとしていて「水飲むか」って足を止めたら、真横1mのところにカモシカがいてびっくりしました。いるなら言ってよぉ!
でも、これがクマだったらと思うと・・・。山に入ったら山以外のことは考えるな!目を凝らし、周りの景色をよく観察すべし。
ちなみに、私は最近ブログではなくガジェットのYoutubeをやっているので、興味があるひとはぜひ応援してね。山がメインじゃないけど。
生き延びよう
この猟師に出会って、私は運が良かったと思う。
クマへの認識を改めて考えさせられたし、ほんの数分ズレれていれば出会うこともなかった。この出来事が、私を少しだけ長生きさせてくれるはずだ。
だからこそ、コレを読んだあなたもしっかりとクマ対策をして欲しい。これは私なりの恩送りである。私がたまたま拾った運を、今度はあなたが拾う番だ。
どんな山域でも「人喰いクマ」は存在する。クマへの畏怖と対策を忘れてはならない。
山へ入るなら万全な準備で、どうかあなたが熊に出会うことなく安全に過ごせることを願っている。




