この記事では、富士山の登山ルートを詳しく解説します。
富士山には代表的な登山ルートが5つあり、難易度が異なります。これらのルートの特徴や所要時間を、地図と動画を踏まえながら初心者でもわかりやすいように解説しています。
また、実際の登山道も写真で紹介しています。この記事を読めば、あなたがどの登山道を選べば良いかわかるはずです。ぜひ参考にしてみてください。
なお、以下の一覧表は、「相対評価で泊まりを前提とした難易度」で考えています。基本的には、どのルートも大変なはずです。
また、日帰りで行く場合には、どれも上級者レベルの体力が必要になりますので、ご注意ください。
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ルート概要 | ||||
吉田ルート | 約1660m | 累計標高差約16km | 往復距離約10時間10分 | 登山時間はじめて~初心者向け |
富士宮ルート | 累計標高差 約1520m | 往復距離 約10km | 登山時間 約7時間50分 | 初心者向け |
須走ルート | 約1910m | 累計標高差約14km | 往復距離約10時間30分 | 登山時間初心者~中級者向け |
御殿場ルート | 累計標高差 約2420m | 往復距離 約18km | 登山時間 約13時間30分 | 上級者向け |
プリンスルート | 約1580m | 累計標高差約13km | 往復距離約9時間20分 | 登山時間初心者向け |
富士山の5つの登山ルート

名称 | 富士山(ふじさん) |
標高 | 3,776m |
ジャンル | 日本百名山 |
登山エリア | 南関東 |
都道府県 | 静岡県、山梨県 |
登山適期 | 7月上旬~9月上旬 |
難易度 | 上級 |
アクセス方法 | 富士登山の登山口やアクセス方法 |
富士山は、静岡県と山梨県にまたがる日本一高い山です。
その高さや知名度は圧倒的で、日本人なら誰もが知っている山でしょう。高さ、知名度、美しさ、歴史、どれをとっても超目立つ山です。
富士登山は泊まりが基本ということで、この記事のルートの目安表は"泊まりでいった場合の難易度"にしてあるのでご注意ください。また、GPSの軌跡は最高峰である剣が峰まで行った場合のものです。
日帰り登山の場合は、どれも上級者レベルの体力が必要です。
日帰りで挑戦される場合には、十分にトレーニングしてから行きましょう。
吉田ルート

吉田ルートは、富士山で最も人気です。
まさに初心者のために作られたようなルートで、傾斜のゆるさや山小屋の多さなど、一番楽に登れると思います。
とはいえ、吉田ルートは全体の登山者の約6割が利用しているルートでもあり、混雑するという意味では別のきつさがあるとおもいます。
合計距離 | 15.5km |
最高点の標高 | 3,776m |
最低点の標高 | 2,266m |
累積標高(上り) | 1,654m |
累積標高(下り) | 1,654m |
登山未経験者や初心者は、選択すべきルートのひとつです。
吉田ルートは、初めての富士登山ではド定番です。山小屋が多いということは、トイレも多いので女性には安心ですね。
吉田ルートは人の多さがかなりのマイナスポイントになるので、初心者だけど人が多いのは嫌という人は、下記の富士宮ルートがおすすめです。
富士宮ルート

富士宮ルートも初心者向けです。
このルートは全体的に傾斜が急で、岩場も多く存在しており、足上げに筋力を使います。そのため、脚力のないであろう登山未経験者には、あんまりおすすめできないかなという印象です。
最短ルートなので、未経験者でも挑戦しやすいのですが、どちらかといえば、登山をやっているひとに向いているルートです。
合計距離 | 10.05km |
最高点の標高 | 3,776m |
最低点の標高 | 2,387m |
累積標高(上り) | 1,524m |
累積標高(下り) | 1,524m |
このルートを行くつもりなら、なるべくスクワットはやっといた方が良いです。登りも下りも、よく太ももを使うルートですので。
登山のためのトレーニングについての解説は、以下の記事をどうぞ。

富士宮ルートの特徴は、以下の通りです。
富士宮ルートは、傾斜はキツい分早く頂上に着くというメリットがあります。その反面、ある程度の知識と技術がないと、登頂失敗する可能性が増えるルートでもありますね。
これについては、事前に勉強や準備をしていくと良いでしょう。
富士登山の成功率を高める方法についての解説は、以下の記事をどうぞ。

須走ルート

須走ルートは、樹林帯からはじまるのが特徴です。
とはいえ、途中からはいつもの富士登山道といった感じで、それ以外の特徴はあんまりないですね。下山では砂走が特徴的なのですが、登りはひたすら単調です。
私は2度目の富士山でここを登っていますが、あんまり印象に残らなかったルートです。
合計距離 | 14.1km |
最高点の標高 | 3,776m |
最低点の標高 | 1,971m |
累積標高(上り) | 1,909m |
累積標高(下り) | 1,909m |
須走ルートの登山道では、「砂走」という下山専用路があります。
ネットではおすすめポイントとして紹介されることが多いのですが、実際にのぼっていないひとが大砂走と勘違いしてまとめているようなものが多く見受けられます。
砂走に対する私の率直な感想としては、"悪路"です。下るのにとても神経を使いました。
砂走には、砂の中に大き目の小石が埋もれており、これを踏むと滑ります。
動画があるので、実際に見てみてください。最後に足がとられているのがわかるとおもいます。終始こんな感じで、気が休まりませんでした。
須走ルートは、個人的には人との交流が印象的でした。
須走5合目で富士山に関わる人々の"人柄の良さ"は、とても素晴らしかったです。
山小屋の従業員さん、ボランティアやバスの運転手さん、それぞれが連携している点も素晴らしく、とても安心感がありました。
須走ルートは、静かに富士登山をしたい中級者以上向けのルートですね。
御殿場ルート

御殿場ルートは、完全な上級者向けです。
技術的な難易度はほぼないんですが、如何せん要求される体力レベルが高いので、体力レベルとともにむずかしさもMAXとしました。
国内でも、体力的には最難関に近い登山ルートのひとつではないでしょうか。
昔、たまたまバスで地元のおじさんと話をさせて頂いたことがあるのですが、若い頃に御殿場口ルートから登ったらしく、「もう絶対に登りたくないと思った」だそうです。
私も日帰りで挑戦しましたが、登山道の変化はあまりなく、ただひたすらのぼり続ける修行のような登山道ですね。上級者ルートゆえか、トレランのひとも多かったです。
合計距離 | 18.26km |
最高点の標高 | 3,776m |
最低点の標高 | 1,439m |
累積標高(上り) | 2,416m |
累積標高(下り) | 2,416m |
御殿場ルートには、大きな特徴があります。
このルートは、唯一「マイカーで登山口にアクセス」できるんです。時間に縛られず行動ができるのが、最大のメリットですね。
また、基本的にザレ場となっていることが、このルートの地獄たる由縁です。ザレ場は色んな筋肉を使うので、鍛えてない人間にとっては地獄になるでしょう。
大砂走は超爽快
御殿場ルートには、大砂走という下山道があります。
この大砂走は超爽快で、かなりの標高を一気にくだることができます。砂走のさらに砂の量が多いバージョンで、こっちは足がとられることがなく、走っても安定します。
勢いよく走ると、本当に一歩で3mくらい進みます。めちゃくちゃ早いです。
あくまで余力が残っていればの話になりますが、下りの時間はのぼりの時間に対してかなり短くなります。
標高差は2400mありますが、それを感じさせないくらいスピーディにくだることができました。ほんと爽快です。
プリンスルート

プリンスルートは、富士宮口ルートと御殿場ルートをミックスしたものです。
昔、皇太子殿下が登られたことから由来して、プリンスルートと呼ばれています。
現在の天皇陛下ですね。陛下は登山が趣味で、有名な山などにいくと時々写真などが貼られています。私は、伊吹山の山小屋なんかで写真をお見かけしました。
合計距離 | 13.1km |
最高点の標高 | 3,776m |
最低点の標高 | 2,375m |
累積標高(上り) | 1,578m |
累積標高(下り) | 1,578m |
プリンスルートは、宝永山を経由していくのが最大の特徴で、それぞれのルートの良いとこどりなルートです。

宝永山直下は、落石が多いので注意してください。そこらへんに大きな岩がゴロゴロしていますし、去年大きな落石があったのがニュースになっていました。
プリンスルートは、最初に経由するルート次第で難易度が変わります。
宝永山直下の登山道がザレ場(砂浜のような足場)になっており、多くの人がここで脚をやられてしまいます。しかも、それが序盤にくるため、ここで浪費してしまうと後半がかなりキツくなるはずです。

ザレ場はその不安定さから、結構脚の筋力が必要なので、ある程度登山をやっている人向けです。実際に登ってみればわかりますが、宝永山直下はみなさんかなり苦戦しておられます。
プリンスルートを登るなら、先に富士宮ルート側からいった方が楽です。ただ、宝永山側から分岐を間違うと御殿場口の方にいってしまうので、道迷いには要注意です。
お鉢巡り
富士山頂上を一周することを、お鉢巡りといいます。
この道中に、富士山の本当の頂上である"剣が峰"があります。お鉢巡りは、まさに天空の散歩といった感じで360°の絶景を見ることができます。
吉田と須走ルートからだと、ほぼ真反対に位置するため、剣が峰にいくつもりならそのままお鉢巡りをしてしまった方が良いです。
日本で一番高い場所でできる贅沢な散歩、それがお鉢巡りです。
富士山のライブカメラ

現在の天気を知るには、ライブカメラを見るのが一番良いです。
登山当日には、ライブカメラの様子を観てから登山しましょう。
富士山全体のライブカメラ
富士山全体が見えるライブカメラです。
富士山は雲海率がとても高い山です。そのため、雲がかかるのはよくあることなので、頂上が晴れているかは、下記の8合目と頂上のライブカメラの様子を見ることでわかります。
これらのライブカメラでは、周りの雲の様子を参考にしてください。周りに雲があれば、天気が悪くなることが予想されますし、積乱雲が近くにきていないかなどのポイントも重要です。
吉田ルート、須走ルートをのぼるひとは、こちらのライブカメラを参考にしてください。
富士宮ルート、御殿場ルートをのぼるひとは、こちらのライブカメラを参考にしてください。
8合目付近のライブカメラ
吉田ルートの八合五勺にある御来光館からのライブカメラ映像です。
このライブカメラは、登山期間中(7月~9月上旬)にしか映像が流れませんので、ご注意ください。

頂上のライブカメラ
こちらは、富士山頂上のライブカメラです。
富士山の山頂である剣が峰(3,776m)に設置された、ライブカメラからの映像が見られます。
※現在は休止中です。おそらく登山シーズンに復活すると思われます。
富士山には色んなルートがある

結局どのルートが一番オススメ?
のぼりやすさや景色の良さなどを考えると、富士宮ルートからいって御殿場ルートから降りてくるプリンスルートが一番オススメできるかなとおもいます。
ただ、複合ルートゆえに道迷いの可能性もあるため、最初にのぼる際は、やはり吉田ルートか富士宮ルートが無難でしょう。
慣れてくれば、プリンスルートをゆったり行くのが一番楽しいとおもいます。
富士山はルートによっても楽しみ方が変わる山なので、ひとつだけではなく、色んなコースを登ってみてはいかがでしょうか。